何を伝えるための資料か
野村不動産ホールディングスが通期の決算で公開している説明資料です。全69ページを4章に分けています。
住宅・都市開発・海外とセグメントが分かれ、どの章も物件の話に降りていきます。章を横断して読む人より、関心のある章だけを開く人を想定した作りです。
全体の作り
69ページに章扉はありません。代わりに目次を何度も出します。
章の切り替わりで目次を出し直す
2ページ目に目次があり、11ページ目でもう一度同じ目次が出ます。次の章に入る手前でまた出ます。
再掲のときは、これから読む章の行だけを黒で残し、ほかの行をグレーに落とします。いま4章のうちどこに入るのかが、全体の並びと一緒に見えます。章扉に章名だけを書く作りと比べると、前後関係まで毎回見せられます。
結論をチェックマークの行で置く
本編のページは、ヘッダーの下にチェックマーク付きの箇条書きが2行か3行入ります。「売上高、各利益はいずれも過去最高、14期連続増収」のように、数字と判断をひとまとめにした書き方です。
図表はその下です。行の数は2行か3行に収まり、4行を超えるページはほとんどありません。
見出しをセグメント名から始める
本編のページ見出しは「住宅セグメント:分譲(契約進捗率)」のように、セグメント名から始まります。コロンの後ろに細目が続く形です。
同じ資料で住宅が9ページ、都市開発が8ページ続くので、見出しの先頭を揃えておくと、読み手はいまどのセグメントを読んでいるかを見出しの1語目で確かめられます。
写真を物件のページにだけ戻す
表紙はビルの写真を全面に敷いていますが、業績のページは白地で写真がありません。写真が戻るのは、計上予定物件や再開発プロジェクトを説明するページです。
不動産の会社なので、物件そのものが商品にあたります。商品を見せるページと数字を見せるページで、画面の作りを分けています。
表紙で決めていること
決算説明資料の表紙
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# 参考にするスライド 野村不動産ホールディングス株式会社「2026年3月期 決算説明資料」1ページ目「決算説明資料の表紙」 https://slidezukan.com/docs/nomurarealestate-2026q4/#p1 # 分類 資料の種類:決算説明資料 スライドの内容:表紙 図版の型:なし 配色:青 # 読み取った作り - 写真を全面に敷く:自社が開発した建物を見上げた写真を全面に置き、余白を作っていません。写真そのものが実績を示すので、説明の文字が要りません。 - 白い矩形を傾けて重ねる:半透明の白い矩形をわずかに傾けて写真に重ね、社名と資料名を入れています。文字は写真に直接乗らないので、建物の明暗に左右されません。 - 写真の情報を右下に:物件名と日付を白文字で右下に小さく置いています。矩形の中が主題、外が補足という分け方です。 # 資料全体の決まり - 使用する色は5色まで - 中扉は置かない - 表紙の配色を以降のページへ引き継ぐ - 表紙の次は目次 # 依頼 上の作りをそのまま使って、次の内容でスライドを1枚作ってください。 内容:(ここに自分が載せたい内容を書く) 変えたいところ:(あれば書く。無ければ「なし」)
自社が開発した建物の写真を全面に敷いた表紙です。半透明の白い矩形をわずかに傾けて重ね、文字の置き場所を作っています。
野村不動産ホールディングスの通期決算説明資料の1ページ目にあたります。
不動産の開発会社には、事業内容が写真に写るという事情があります。建てた建物が実績にあたります。工場や店舗を持つ会社でも同じことは言えますが、不動産会社の場合は建物が商品です。
写真を使うと、文字の置き場所を別に決めることになります。資料名とロゴを、写真のどこに置くかという問題が残ります。
5つです。
| 要素 | 置き場所 |
|---|---|
| 建物を見上げた写真 | 画面全体。余白なし |
| 半透明の白い矩形 | 左寄りの中ほど。わずかに傾く |
| ロゴとタグライン | 矩形の中、上 |
| 資料名 | 矩形の中、下。黒の太字 |
| 物件名と日付 | 右下。白抜きの小さな文字 |
矩形の中を透かして、建物の縁が薄く見えています。
掲載している表紙8枚は、作り方が4通りに分かれました。
| 型 | 例 | 得るもの | 失うもの |
|---|---|---|---|
| 写真を主役にする | 野村不動産 | 事業や実績そのものを見せられる | 文字を置ける場所が写真に縛られる |
| 色の面を敷く | 明治HD | 基調色が画面を占める | 面が単調になりやすい |
| 白地に文字だけ | 任天堂、さくらインターネット、エン・ジャパン | 手間が最小で、資料名に視線が集まる | 要素が多いと雑然とする |
| 白地に図形を足す | 京セラ、ゼンリン、アイスタイル | 写真素材がなくても表情が出る | 文字と図形の干渉を設計する必要がある |
野村不動産は1つ目です。
写真を使う表紙には、画面の一部だけを写真にして残りを文字の場所に充てる作りもあります。ヌーラボの登壇資料は写真を左半分に留め、右半分へ題を縦書きで入れました。野村不動産は全面に敷いたので、白い場所が残っていません。
残すか残さないかで、写真の幅が変わります。ヌーラボの写真は横幅の半分です。野村不動産は全幅で、建物を見上げた構図が画面の端まで届きます。代わりに、文字を置く場所を写真の中に作ることになりました。
写真を全面に敷く
写真は画面の端まで届いていて、余白がありません。
端に余白を残す作りもあります。キッチハイクの表紙は写真を右下の菱形9枚に切り、左上を文字の場所として空けました。
場所を分ければ、文字の置き方が写真に縛られません。写真の明暗を確かめる必要もありません。代わりに写真の幅が減り、見上げた構図の角度も浅くなります。
全面に敷くと、構図が端まで残ります。野村不動産の写真は建物の下から空を見上げたもので、画面の対角に建物の縁が走ります。端で切ると、対角線の勢いが弱まります。
白い矩形を半透明のまま重ねる
矩形は白ですが、透けています。中を通して建物の縁が薄く見えます。
不透明の白にする作りもあります。
不透明だと、写真に長方形の穴が開いたように見えます。全面の写真を選んだ理由は構図を残すことなので、真ん中を抜くと理由が消えます。
半透明なら、下の写真が続いていると分かります。透過率は文字が読める範囲まで落としてあり、ロゴのオレンジと紫も背景に影響されません。写真の上に直接置くと、2色のロゴは白抜きにも黒にもできません。
物件名を矩形の外に置く
「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」と日付が、右下に白抜きの小さな文字で置かれています。矩形の中ではありません。
矩形の中に入れる作りもあります。
入れると、矩形の中に4つ並びます。物件名は写真に写っている建物の名前で、資料名とは対応する相手が違います。矩形の中に入れると、資料の一部を説明しているように読めます。
外に置けば、写真の説明だと分かります。矩形の中が主題、外が補足という分け方です。
写真を表紙に使うなら、全面に敷くか列を残すかを先に決めてください。
構図を見せたいなら全面です。文字の量が多いなら、端に白い列を残してください。列を残せば、明暗を確かめずに文字を置けます。
全面に敷くなら、文字の場所を写真の上に作ります。半透明の白い矩形が扱いやすく、透過率は文字が読める範囲で最も低くしてください。不透明にすると、写真に穴が開いたように見えます。
ロゴが多色なら、写真の上に直接置かないでください。白抜きにも黒にもできないので、背景の明暗で読みやすさが変わります。
写真に写っているものの説明は、矩形の外に置きます。中に入れると、資料の一部を説明しているように読まれます。
数字を見せる3枚
年間配当金・総還元性向の推移
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# 参考にするスライド 野村不動産ホールディングス株式会社「2026年3月期 決算説明資料」10ページ目「年間配当金・総還元性向の推移」 https://slidezukan.com/docs/nomurarealestate-2026q4/#p10 # 分類 資料の種類:決算説明資料 スライドの内容:業績ハイライト 図版の型:複合グラフ 配色:オレンジ # 読み取った作り - ヘッダーを2段にする:上段に章番号と章名、下段に丸数字とページ題という2段のヘッダーです。長い資料のどこを読んでいるかが、めくらずに分かります。 - 結論をチェック記号で:ヘッダーの下に、結論をチェック記号付きで3行置いています。箇条書きの記号を確認済みの印に替えることで、既に決まった話だと伝わります。 - 本文領域を左右で割る:左に方針の枠、右に推移のグラフを置いています。左が目指す水準、右が実績という役割分担です。 # 資料全体の決まり - 使用する色は5色まで - 中扉は置かない - 表紙の配色を以降のページへ引き継ぐ - 表紙の次は目次 # 依頼 上の作りをそのまま使って、次の内容でスライドを1枚作ってください。 内容:(ここに自分が載せたい内容を書く) 変えたいところ:(あれば書く。無ければ「なし」)
18期分の配当と還元性向を1枚にした複合グラフです。折れ線2本を同じ色にして、線種だけで指標を分けています。
野村不動産ホールディングスの通期決算説明資料の10ページ目にあたります。年間配当金と総還元性向の推移を示すページです。株主還元のページには、長い期間を載せることになるという事情があります。野村不動産は15期連続の増配を予想しています。連続増配を主張するなら、15期ぶんの棒が要ります。
載せる指標は3つです。1株当たり配当金は円、配当性向と総還元性向は %。単位の違うものを同じ図に入れることになります。
ヘッダーの下を左右に割っています。
| 位置 | 中身 |
|---|---|
| ヘッダー上段 | 「1. 2026年3月期 決算概要(連結)」。小さめ |
| ヘッダー下段 | 「⑧ 株主還元」。大きめ。右上にロゴ |
| 結論 | チェック記号付きで3行 |
| 左(3割) | 長期経営方針の財務指針。紫の見出し2つと白い箱3つ |
| 右(7割) | 複合グラフ。紫の棒19本と、オレンジの折れ線2本 |
| グラフの上 | 赤い太い矢印と「15期連続増配予想」 |
| 軸の下 | EPS の数値を年度ごとに1行 |
右端の27/3期予想の棒だけ、塗られておらず点線の枠になっています。
方針と実績をどう並べるかで、3通りに分かれます。
| やり方 | 得るもの | 失うもの |
|---|---|---|
| 左に方針の枠、右に推移 | 目標の水準と実績が並んで読める | グラフの幅が7割に減る |
| 同じ横軸に上下に積む | 年度ごとの対応が縦に取れる | 年度に紐づかない方針は置けない |
| 方針を文章で書く | 場所を取らない | 数値目標が本文に埋もれる |
野村不動産は1つ目です。明治HDの ROE の推移は2つ目にあたり、折れ線・中期計画の区切り・総還元性向を同じ横軸で3段に積みました。分けているのは、方針が年度に紐づくかどうかです。明治が積んだ中段は3期の中期経営計画の区切りで、どの年度がどの計画かという情報です。横軸がないと置けません。
野村不動産の左の枠には「総還元性向40〜50%」「DOE4%下限」と入っています。2026年3月期から2030年頃までの指針で、年度ごとに変わりません。横軸に載せる必要がないので、グラフの外に出せます。
折れ線2本を同じ色にする
配当性向が実線、総還元性向が点線で、どちらもオレンジです。マーカーは白抜きの丸でそろっています。
2本を別の色にする作りもあります。
別の色にすると、紫の棒と合わせて3色になります。2本はどちらも EPS を分母にした還元の割合で、同じ種類の指標です。色を分けると、別種の指標が2つ載っているように見えます。
線種で分ければ、同じ系統の2本だと分かります。総還元性向は配当に自社株買いを足したものなので、必ず配当性向以上になります。2本が上下に並走する形も、同じ色のほうが読めます。
予想の棒だけ輪郭で描く
18本の実績の棒は紫で塗られています。右端の27/3期予想だけが、塗りのない点線の枠です。
19本とも同じ塗りにする作りもあります。
同じ塗りだと、19期ぶんの実績に見えます。27/3期は予想値なので、実績と混ぜると確定した数字として読まれます。輪郭だけにすれば、線種と塗りの2つで実績と分かれます。ゼンリンの事業別売上高も業績予想の棒を点線の枠と薄い色にしていました。確定していない数字を輪郭で示す扱いは、複数の資料に共通しています。
矢印を棒の上に渡す
赤い太い矢印が、グラフの左下から右上へ1本引かれています。「15期連続増配予想」の文字が添えられています。
矢印を置かない作りもあります。
置かないと、連続増配という主張は棒の高さを15本たどらないと読めません。棒は12/3期の5.00円から27/3期の44.00円まで、途中に9.00や11.50といった近い値が続きます。1本ずつ前の年と比べる作業になります。
矢印なら、起点と終点が形で決まります。矢印は棒の上端より上を通っているので、棒の高さを隠していません。値を読みたい読み手は、矢印の下の棒をそのまま追えます。
還元のページで数値目標と実績を両方載せるなら、目標が年度に紐づくかを確かめてください。
紐づかないなら、グラフの外に枠として出します。左に3割、右に7割が目安です。紐づくなら、同じ横軸で上下に積んでください。
折れ線が複数あるときは、指標の種類が同じかどうかで色を決めます。分母も性格も同じ2本なら、同じ色で線種を変えてください。色を分けると、別種の指標に見えます。
予想や計画の棒は、塗りを外して輪郭だけにします。実績と同じ塗りにすると、確定した数字として読まれます。
長期の傾向を主張するなら、矢印を1本引いてください。棒の上端より上を通せば、値を読む邪魔になりません。本数が10を超えるグラフでは、傾向を読み手に数えさせないほうが早く伝わります。
収益不動産の売却実績
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# 参考にするスライド 野村不動産ホールディングス株式会社「2026年3月期 決算説明資料」22ページ目「収益不動産の売却実績」 https://slidezukan.com/docs/nomurarealestate-2026q4/#p22 # 分類 資料の種類:決算説明資料 スライドの内容:業績ハイライト 図版の型:棒グラフ 配色:青 # 読み取った作り - 要素を3つに絞る:ヘッダーと結論1行、グラフ1つだけの構成です。1ページ1メッセージに徹していて、補足の表も注記もありません。 - 当期だけ数字を大きく:5期分の棒に数字を添え、当期の2本だけ文字を数倍に拡大しています。棒の色は5期とも同じなので、強調はサイズだけが担います。 - 凡例を上に1行で:売上高と粗利益の凡例をグラフの上に横1行で置いています。棒が10本あっても、数字は棒の真上にしかありません。 # 資料全体の決まり - 使用する色は5色まで - 中扉は置かない - 表紙の配色を以降のページへ引き継ぐ - 表紙の次は目次 # 依頼 上の作りをそのまま使って、次の内容でスライドを1枚作ってください。 内容:(ここに自分が載せたい内容を書く) 変えたいところ:(あれば書く。無ければ「なし」)
グラフ1つだけで組んだページです。棒の色を5期とも変えないまま、当期の数字だけを数倍に拡大しています。
野村不動産ホールディングスの通期決算説明資料の22ページ目にあたります。都市開発セグメントで売却した収益不動産の実績を示すページです。
収益不動産の売却には、年によって金額が大きく動くという性質があります。22/3期から25/3期までは1,000億円前後で推移し、26/3期に2,183億円まで伸びました。倍近い差です。
伝えたいことは1つです。当期に売却が大きく進んだこと。ほかに載せる必要のある情報がありません。
3つしかありません。
| 位置 | 中身 |
|---|---|
| ヘッダー上段 | 「2. 2026年3月期 決算概要(セグメント別)」 |
| ヘッダー下段 | 「② 都市開発セグメント:収益不動産の売却」。右上にロゴ |
| 結論 | チェック記号付きで1行 |
| グラフ | 「売上高・粗利益の推移」。棒10本 |
| 凡例 | グラフの上に横1行 |
補足の表も、注記もありません。26/3期の2本だけ、数字が数倍の大きさで色付きになっています。
1ページに何を載せるかで、3通りに分かれます。
| やり方 | 得るもの | 失うもの |
|---|---|---|
| グラフ1つだけ置く | 読み取ってほしいことが1つに決まる | ページ数が増える |
| 図を2つ以上並べる | 関連する指標を同時に見せられる | 1つあたりが小さくなる |
| 図と表を並べる | 実数まで読める | 図の幅が減る |
野村不動産は1つ目です。同じ資料の24ページ目は2つ目にあたり、左に折れ線、右にドーナツ2つと表を置きました。
同じセグメントを扱う2枚で、密度が正反対です。分けているのは、読み手が知りたいことの数です。売却の実績は金額が分かれば足ります。空室率のページでは、推移・構成・実数のどれを知りたい読み手もいます。
資料は69ページあります。1ページ1メッセージのページを作る余裕があるので、詰め込む理由がありません。
ヘッダーを2段にする
上段に「2. 2026年3月期 決算概要(セグメント別)」、下段に丸数字とページの題が入っています。
1段にする作りもあります。ページの題だけを置く形です。
69ページの資料で、章は複数あります。ページの題だけだと、連結の話かセグメント別の話かが分かりません。PDF を途中から開いた読み手には、章立て自体が見えていません。
2段にすれば、めくらずに位置が分かります。ゼンリンも上段に「Appendix:2026年3月期 実績」と入れ、付録に入ったことを本文の前に示していました。長い資料では、位置をページごとに示す作りが選ばれています。
当期だけ数字を大きくする
5期とも、売上高が紫、粗利益がオレンジです。26/3期の2本の数字だけが、ほかの数倍の大きさで色付きになっています。
当期の棒の色を変える作りもあります。
色は凡例に縛られています。紫が売上高、オレンジが粗利益と決まっているので、当期だけ変えると凡例と合わなくなります。アイスタイルの積み上げ棒も同じ制約に当たり、色ではなく点線の枠で2本を指定していました。
数字の大きさなら、凡例に触れません。棒の上に置かれた値のうち2つだけが大きいので、読む場所が決まります。棒の高さも当期がいちばん高いので、大きさの差と高さの差が同じ方向を指しています。
凡例をグラフの上に1行で置く
凡例が、グラフの上、中央に横1行で置かれています。
グラフの左や右に縦に置く作りもあります。
縦に置くと、グラフの幅が凡例のぶん減ります。棒は5期 × 2本で10本あり、幅が要ります。
上に横1行なら、高さを1行ぶんしか取りません。系列が2つだけなので1行に収まります。系列が4つを超えると1行では並びきらないので、横1行という形は系列数に支えられています。
1ページに何を載せるかは、読み手が知りたいことの数で決めてください。
1つなら、グラフだけを置きます。補足の表も注記も足さないでください。資料が30ページを超えるなら、ページを1枚増やすほうが早く伝わります。
長い資料では、ヘッダーを2段にします。上段に章、下段にページの題です。途中から開いた読み手に、位置が伝わります。
系列に色が割り当てられているグラフでは、強調に色を使えません。数字の大きさか、点線の枠を使ってください。色を変えると凡例と合わなくなります。
凡例は、系列が4つまでならグラフの上に横1行で置きます。5つ以上なら縦に置くことになるので、その場合はグラフの幅を先に減らして設計してください。
空室率と賃貸可能床面積
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# 参考にするスライド 野村不動産ホールディングス株式会社「2026年3月期 決算説明資料」24ページ目「空室率と賃貸可能床面積」 https://slidezukan.com/docs/nomurarealestate-2026q4/#p24 # 分類 資料の種類:決算説明資料 スライドの内容:業績ハイライト 図版の型:円グラフ 配色:カラフル # 読み取った作り - 本文領域を左右で割る:左に折れ線、右にドーナツ2つと表を置いています。左が時系列、右が構成比という分担です。 - 右側を上下に重ねる:右の列をさらに上下に割り、上にドーナツ、下に実数の表を置いています。推移・構成・実数のどれを知りたい読者も、自分の場所を見つけられます。 - 除外値を点線で並走:特定物件を除いた空室率を点線の折れ線として本線に並走させています。同じ軸の上で、実績と参考値が線種だけで分かれます。 # 資料全体の決まり - 使用する色は5色まで - 中扉は置かない - 表紙の配色を以降のページへ引き継ぐ - 表紙の次は目次 # 依頼 上の作りをそのまま使って、次の内容でスライドを1枚作ってください。 内容:(ここに自分が載せたい内容を書く) 変えたいところ:(あれば書く。無ければ「なし」)
左に折れ線、右にドーナツ2つと表を置いたページです。右の列だけをさらに上下に割って、3種類の読み手に応えています。
野村不動産ホールディングスの通期決算説明資料の24ページ目にあたります。オフィスと商業施設の空室率、賃貸可能床面積を示すページです。
説明が要る事情があります。26/3期4Q の空室率が14.3%まで上がりました。前の四半期の5.9%から2倍を超えています。原因は、竣工後1年を経過した BLUE FRONT SHIBAURA が算入対象に入ったことです。
物件が理由で上がった数字と、既存物件の状況は別です。同時に見せる必要があります。
ヘッダーの下を左右に割り、右をさらに上下に割っています。
| 位置 | 中身 |
|---|---|
| ヘッダー | 2段。章名とページ題。右上にロゴ |
| 結論 | チェック記号付きで2行 |
| 左(5割) | 空室率の折れ線4本。四半期20本ぶん |
| 左の注記 | 2行 |
| 右上 | ドーナツ2つ。セクター別構成とエリア別構成 |
| 右下 | 表。3行 × 4列 |
| 右の注記 | 1行 |
折れ線4本のうち2本は点線で、BLUE FRONT SHIBAURA を除いた値です。
割り方で3通りに分かれます。
| やり方 | 得るもの | 失うもの |
|---|---|---|
| 左右に割り、片方をさらに上下に割る | 推移・構成・実数を1枚に入れられる | ひとつあたりが小さくなる |
| 左右に割るだけ | 2つの図を大きく見せられる | 3つ目が入らない |
| 図をひとつだけ置く | 読み取ってほしいことが1つに決まる | ページ数が増える |
野村不動産は1つ目です。同じ資料の22ページ目は3つ目にあたり、棒グラフを1つだけ置きました。
割り方を左右で変えているのが特徴です。左は折れ線1つだけで、上下に割られていません。空室率の推移を示すのに図は1つで足ります。右は構成比と実数という別々の情報なので、2つの場所が要ります。
左右を同じ形に割る作りもありますが、そうすると左に置くものを作ることになります。必要な数だけ場所を作った形です。
除外値を点線で並走させる
空室率の折れ線は4本あります。全エリアと首都圏がそれぞれ実線で、同じ2つの BLUE FRONT SHIBAURA を除いた値が点線です。点線は本線と並走しています。
除いた値を別のグラフにする作りもあります。
別のグラフにすると、同じ縦軸の2枚を見比べることになります。乖離の幅を読むために、両方の目盛りを確かめる作業が発生します。
並走させれば、乖離が縦の距離として読めます。22/3期から25/3期まで、実線と点線はほとんど重なっています。26/3期4Q で、首都圏の実線が14.3%、同じ首都圏の点線が6.3%に開きます。1か所だけ差が出たことが形で分かります。明治HDも中国減損の影響を除いた値を、実線から点線で分岐させていました。
ドーナツの中央に合計を入れる
「計60.1万㎡」「計51.4万㎡」が、それぞれのドーナツの穴の中に置かれています。
合計を円の外に置く作りもあります。
外に置くと、円の周りにセクター名・割合・合計が並びます。セクター別のドーナツにはオフィス85.5%と商業施設14.5%の2つのラベルがあり、エリア別には4つあります。ラベルが増えるほど、合計を置ける場所が円から遠くなります。
穴を使えば場所を取りません。割合の分母が何かも、円の中で完結します。
表を右下に置く
表は右の列の下半分にあり、26/3期3Q・4Q・増減・25/3期4Q の4列でできています。
表を左に置く作りもあります。
左には折れ線があります。折れ線の横軸は四半期で、表の列も四半期です。並べると、横軸が2つ並ぶことになり、どちらの四半期の話かを列ごとに確かめる必要が出ます。
ドーナツの下に置けば、上の円と下の表が同じ「賃貸可能床面積」の話になります。ドーナツが構成比、表が実数という分担です。ドーナツの中央にある60.1万㎡が、表の1行目にも現れます。
複数の図を1枚に載せるなら、左右を同じ形に割らないでください。
必要な数だけ場所を作ります。片方が1つで足りるなら、そちらは割らずに大きく取ってください。形をそろえるために図を足すと、載せる必要のないものが増えます。
一時的な要因を除いた値を見せるなら、別のグラフにせず点線で並走させます。乖離が縦の距離で読めるので、どこで差が出たかが1か所で分かります。
ドーナツを使うなら、合計は穴の中に入れてください。外に置くと、ラベルが増えたときに置き場所が円から離れます。
図と表を並べるときは、軸の種類が重ならない位置に置きます。時系列のグラフの横に時系列の表を置くと、横軸が2つ並びます。構成比の図の下なら、同じ話の実数として読めます。
計画の進み具合を見せる1枚
3カ年計画の進捗
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# 参考にするスライド 野村不動産ホールディングス株式会社「2026年3月期 決算説明資料」36ページ目「3カ年計画の進捗」 https://slidezukan.com/docs/nomurarealestate-2026q4/#p36 # 分類 資料の種類:決算説明資料 スライドの内容:中期計画 図版の型:棒グラフ 配色:青 # 読み取った作り - 本文領域を左右で割る:左に事業利益の棒、右に投資と回収の表を置いています。左が成果、右が原資という分担です。 - 計画を薄い棒にする:4本のうち実績2本と予想・計画2本を、同じグレーの濃さで並べています。序列を付けず、伸び率の矢印だけで主張を載せています。 - 矢印で実績を指す:右の表では、計画値の列から実績へ大きな三角形の矢印を渡しています。行ごとの対応を読ませず、合計だけを比べさせる形です。 # 資料全体の決まり - 使用する色は5色まで - 中扉は置かない - 表紙の配色を以降のページへ引き継ぐ - 表紙の次は目次 # 依頼 上の作りをそのまま使って、次の内容でスライドを1枚作ってください。 内容:(ここに自分が載せたい内容を書く) 変えたいところ:(あれば書く。無ければ「なし」)
3カ年計画の進捗を示すページです。棒4本の濃さをそろえて、実績も計画も同じ比較の対象に置いています。
野村不動産ホールディングスの通期決算説明資料の36ページ目にあたります。3カ年の経営計画がどこまで進んだかを示すページです。
進捗のページには、比べる相手が2種類あるという事情があります。ひとつは計画の数字で、投資20,500億円・回収17,000億円という3年間の総額です。もうひとつは前の期の実績で、事業利益が1,251億円から1,473億円へ伸びています。
総額に対する進捗と、前期に対する伸びは別の話です。同じページで両方を示すことになります。
ヘッダーの下を左右に割っています。
| 位置 | 中身 |
|---|---|
| ヘッダー | 2段。章名と「経営計画:3カ年計画 進捗」 |
| 結論 | チェック記号付きで2行 |
| 左 | 事業利益計画。グレーの棒4本 |
| 左の矢印 | 太い矢印2本(+17.8%、+9.5%)と、グレーの点線矢印 |
| 右上 | 投資。計画の内訳4行と合計、実績6,200 |
| 右下 | 回収。計画の内訳4行と合計、実績5,300 |
| 右の矢印 | 計画から実績へ渡る大きな三角形2つ |
左の棒4本は、25/3期実績・26/3期実績・27/3期業績予想・28/3期経営計画です。
計画と実績の並べ方で、3通りに分かれます。
| やり方 | 得るもの | 失うもの |
|---|---|---|
| 計画の内訳と実績の合計を矢印で結ぶ | 進捗率が合計だけで読める | 内訳ごとの進み方は分からない |
| 内訳ごとに計画と実績を並べる | どの項目が遅れているかが分かる | 行数が倍になる |
| 進捗率だけを書く | 場所を取らない | 規模が分からない |
野村不動産は1つ目です。明治HDのキャッシュアロケーションも方針と実績を左右に分けましたが、実績の側を年度ごとの表にしました。
違いは、経過した年数です。明治は3年計画の2年目で、24年度と25年度の実績が出ています。年度ごとに並べれば、推移も読めます。野村不動産は1年目なので、実績は1つしかありません。
数字が1つしかないなら、表にする意味がありません。合計1つを大きく置き、計画から矢印を渡す形で足ります。
棒4本の濃さをそろえる
左の棒は25/3期実績・26/3期実績・27/3期業績予想・28/3期経営計画の4本で、どれもグレーです。濃さもほとんど変わりません。
予想と計画を薄くする作りもあります。同じ資料の10ページ目では、27/3期予想の棒だけを点線の輪郭にしていました。
同じ資料の中で扱いが分かれています。分けているのは、棒の高さを比べさせたいかどうかです。10ページ目の主張は連続増配で、読ませたいのは棒が毎年伸びているという事実です。予想の1本を実績に混ぜると、確定した記録として読まれます。
36ページ目の主張は、計画を上回る進捗です。1,251・1,473・1,500・1,600という4本の高さを並べて比べてほしいページなので、薄くすると2本が背景に回ります。確定と未確定の区別は、横軸のラベルに「業績予想」「経営計画」と書いて済ませています。
成長率を矢印に載せる
薄紫の矢印が25/3期から26/3期へ、濃紫の矢印が25/3期から27/3期へ伸びています。矢印には +17.8%、+9.5%と添えられています。
棒に数字を添えるだけの作りもあります。
数字だけだと、1,251から1,473への伸び率を読み手が計算することになります。27/3期の +9.5%は年平均の成長率なので、さらに計算が要ります。
矢印なら、起点と終点が形で決まります。2本とも起点が25/3期なので、注記に「利益計画の成長率は25/3期比」と1行添えるだけで済みます。グレーの点線矢印は年平均8%の水準を示していて、2本の実線がそれを上回る角度で伸びていることも、傾きの差で読めます。
内訳は計画の側だけに書く
投資も回収も、計画の側は住宅・都市開発・海外・戦略投資の4行に分かれています。実績の側は合計の1つだけです。
実績も4行に分ける作りもあります。
分けると、計画と実績の対応を4回読むことになります。3年計画の1年目なので、住宅の投資が10,000億円に対していくら進んだかという数字は、まだ達成率として意味を持ちません。
合計だけを比べれば、進捗率が1回で出ます。三角形の矢印は4行ぶんの高さをまたいで実績を指していて、内訳の行のどれか1つを指しているのではないと形で分かります。
計画に対する進捗を見せるなら、経過した年数を確かめてください。
1年目なら、実績は合計1つで足ります。計画の内訳から矢印を渡す形にしてください。2年目以降なら、年度ごとの表にすると推移も読めます。
棒の濃さをそろえるかどうかは、高さを比べさせたいかで決めます。比べさせたいなら4本とも同じ濃さにして、確定と未確定は軸のラベルで断ってください。推移の記録として読ませたいなら、予想の棒は輪郭だけにします。
成長率は、棒に添えず矢印に載せてください。起点をそろえれば、注記1行で基準年を断れます。
計画の内訳を実績と並べるのは、達成率が意味を持つ段階になってからにします。1年目の内訳別達成率は、進み方の偏りではなく着工の順序を映しているだけです。
自分で作るなら
69ページを支えているのは、章の切り替わりで目次を出し直すことと、結論を2行か3行の箇条書きで固定することの2つです。
順番としては、まず目次を1枚作ってください。章が4つ程度なら、章扉を作らずに目次の再掲で足ります。再掲するときは、これから読む章だけを黒で残し、残りをグレーに落とします。新しいページを作る必要がないので、章が増えても手間が変わりません。
次に結論の行を型にします。チェックマークを付けて2行か3行。数字と判断を1行にまとめ、図表はその下へ置いてください。
見出しは最後です。繰り返す区分があるなら、見出しの先頭に区分名を置いてコロンで細目を続けます。