何を伝えるための資料か
任天堂が通期の決算で公開している説明資料です。全30ページを3章に分けています。数字の章、製品の章、巻末の参考資料という並びです。
読み手は機関投資家とアナリストが中心ですが、任天堂の場合はソフトの発売予定を見に来る人も混ざります。章によって作りが大きく変わるのは、読み手の目的が章ごとに違うためだと読めます。
全体の作り
30ページのうち3ページが章扉、7ページが巻末の参考資料です。本編は20ページです。
目次を置かず章扉だけで区切る
2・14・23ページ目に章扉があります。目次はありません。表紙の次がいきなり1章目の章扉です。
章が3つで、章名も「連結業績および業績見通し」「ビジネスハイライト」「参考資料」と説明の要らない語なので、一覧にしても得るものが少ないという判断だと読めます。
章扉に飾りを置かない
章扉は白地に「1. 連結業績および業績見通し」と書いてあるだけです。罫線も色の面もロゴもありません。ページ番号だけが下端に残ります。
本編のページにはヘッダーの見出しと細い横罫線が入るので、罫線が消えることが区切りの合図になります。色を足さずに、要素を減らすほうで差を付けた作りです。
章ごとに密度を変える
1章目は表が12枚続きます。連結業績、売上総利益、販売費及び一般管理費、経常利益と、1ページに1つの表を置いて数字だけを並べます。
2章目に入ると作りが変わります。ソフトのパッケージ画像を敷き詰め、見出しには赤い帯を使い、数字は「400万本以上」のように1つだけ大きく置きます。3章目の参考資料は本編より文字を小さくして、1ページに数十行の表を詰めます。
同じ資料の中で、1ページあたりの情報量が章ごとに3段階に分かれています。読む速度を章ごとに変えさせる作りです。
表紙の色を本編へ持ち込まない
表紙にある色はロゴの赤だけで、資料名も社名も日付も黒です。1章目の表にも赤は出てきません。
赤が戻るのは2章目で、ソフトの一覧の見出し帯に使われます。表紙と同じ色を、いちばん見せたい章にだけ回した割り当てになります。
表紙で決めていること
決算説明資料の表紙
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# 参考にするスライド 任天堂株式会社「2026年3月期 決算説明資料」1ページ目「決算説明資料の表紙」 https://slidezukan.com/docs/nintendo-2026q4/#p1 # 分類 資料の種類:決算説明資料 スライドの内容:表紙 図版の型:なし 配色:モノトーン # 読み取った作り - ヘッダーがない:ロゴを左上に赤い長方形として置くだけで、ヘッダーの帯も罫線も作っていません。表紙に枠を用意せず、白地の上に要素を4つ置いただけの構成です。 - 対角の配置:資料名を左上寄り、社名と日付を右下に置き、対角線上の2か所だけを使っています。画面の中央から右上、左下にかけては完全な空白です。 - 置いていないもの:免責も著作権表記も登壇者名も入れず、ページ番号だけを右下に小さく添えています。決算説明資料の表紙としては要素が最小の部類です。 # 資料全体の決まり - 使用する色は6色まで - 章の切れ目に中扉を置く - 表紙の配色は以降へ引き継がない - 表紙の次はその他 # 依頼 上の作りをそのまま使って、次の内容でスライドを1枚作ってください。 内容:(ここに自分が載せたい内容を書く) 変えたいところ:(あれば書く。無ければ「なし」)
要素が5つしかない表紙です。免責も登壇者名も入れず、白地に文字を置くだけで作っています。
任天堂の通期決算説明資料、1ページ目にあたります。
決算説明会の資料は2つの場面で読まれます。当日は登壇者が口頭で補いますが、同じ PDF が IR サイトに残り、以後は説明する人なしで読まれます。表紙だけで「何の資料か」が分かるように作らないと、二度目の読み手が困ります。
ただ、任天堂の決算資料は毎回大きく取り上げられます。証券会社もメディアも中身を知ったうえで開くので、表紙で資料の性格を説明する必要がほとんどありません。
数えると5つしかありません。
| 要素 | 置き場所 |
|---|---|
| 社名ロゴ | 左上(赤い長方形) |
| 資料名と対象期 | 中央やや左 |
| 社名 | 右下 |
| 日付 | 右下 |
| ページ番号 | 右下の端に小さく |
将来見通しに関する免責がありません。著作権表記もありません。登壇者名も役職も入っていません。
京セラの表紙には6つの要素があり、どれも外せないものでした。同じ決算説明資料でありながら、任天堂は外せないと判断した要素が半分以下です。
掲載している表紙8枚は、作り方が4通りに分かれました。
| 型 | 例 | 得るもの | 失うもの |
|---|---|---|---|
| 写真を主役にする | 野村不動産 | 事業や実績そのものを見せられる | 文字を置ける場所が写真に縛られる |
| 色の面を敷く | 明治HD | 基調色が画面を占める | 面が単調になりやすい |
| 白地に文字だけ | 任天堂、さくらインターネット、エン・ジャパン | 手間が最小で、資料名に視線が集まる | 要素が多いと雑然とする |
| 白地に図形を足す | 京セラ、ゼンリン、アイスタイル | 写真素材がなくても表情が出る | 文字と図形の干渉を設計する必要がある |
任天堂は3つ目です。
同じ型のさくらインターネットと比べると違いがはっきりします。さくらは資料名・期・日付・ロゴ・著作権を画面中央の縦1列に積みました。任天堂は左上・中央・右下と対角に散らしています。要素数はほぼ同じですが、中央1列に積むと「整えた」印象になり、対角に散らすと「置いた」印象になります。
免責を入れていない
決算説明資料の表紙には、将来見通しに関する免責文を置くのが通例です。任天堂は表紙に入れていません。
入れるとどうなるでしょうか。
京セラの表紙では3行の免責が上の白帯にあり、画面の上端に読むものが増えています。任天堂は上端にロゴしかないので、ロゴから資料名への視線の移動が最短になります。
免責を表紙に置かなくても、資料の最終ページに置けば要件は満たせます。任天堂はそちらを選んだと読めます。
ロゴを四角で切り取る
社名ロゴが、白地の上ではなく赤い長方形の中に白抜きで入っています。長方形は画面の左上角に接していて、上と左には余白がありません。
ロゴだけを白地に置くと、赤い文字が広い白の中に浮きます。面で切り取れば、赤が形を持った塊になります。
画面上で赤が使われているのは長方形だけです。資料名も社名も日付も黒で、色が増えていません。
対角に散らして中央を空けている
資料名は上から3分の1あたりの左寄り、社名と日付は下から4分の1あたりの右寄り。画面の中央から右上にかけて、何も置かれていない領域が広く残ります。
中央に寄せて積むこともできたはずです。要素がまとまって「整った」見た目にはなりますが、視線の動きが短くなり、資料名の大きさだけが印象を決めます。
散らすと、読み手の視線は左上のロゴ、中央の資料名、右下の日付と、画面を斜めに横断します。移動の距離が、置いていない領域の広さを伝えます。
表紙に載せる要素を全部書き出して、削れるものを探してください。
削れないものが5つ以下なら、任天堂と同じやり方が使えます。
白地のまま、色面も罫線も作らず、要素を対角に置くだけで足ります。装飾は1か所だけ、ロゴを面で切り取る程度に留めてください。
免責と著作権を外すかどうかは、資料の性格で決めてください。最終ページに置く運用が定着しているなら、表紙から外せます。単体で流通する資料で、最終ページまで読まれる保証がないなら、表紙に残したほうが安全です。
要素が6つを超えるなら、白地だけで組むのは諦めたほうがいいです。白地に6つ以上を散らすと、まとまりのない画面になります。京セラのように上下に帯を取って、主題でないものをそちらへ移すほうが収まります。
数字を見せる3枚
連結業績(実績)
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# 参考にするスライド 任天堂株式会社「2026年3月期 決算説明資料」3ページ目「連結業績(実績)」 https://slidezukan.com/docs/nintendo-2026q4/#p3 # 分類 資料の種類:決算説明資料 スライドの内容:業績ハイライト 図版の型:表 配色:黄 # 読み取った作り - ヘッダーは横罫1本:タイトルを中央に置き、下に画面幅いっぱいの横罫を1本引いただけです。背景の帯を敷かないので、本文領域が縦に広く取れます。 - 列を面で指定する:縦罫を1本も引かず、当期の列だけに薄い黄色の帯を縦に通しています。3列のうちどこを読むかが、線ではなく面で指定されます。 - 単位を小さく添える:金額を右揃えにし、単位の「億円」を数字の後ろに一段小さく置いています。桁数の違う数字が縦に並んでも、桁の位置が揃って見えます。 # 資料全体の決まり - 使用する色は6色まで - 章の切れ目に中扉を置く - 表紙の配色は以降へ引き継がない - 表紙の次はその他 # 依頼 上の作りをそのまま使って、次の内容でスライドを1枚作ってください。 内容:(ここに自分が載せたい内容を書く) 変えたいところ:(あれば書く。無ければ「なし」)
6行の表だけを置いたページです。縦罫を1本も引かず、当期の列に帯を通すことで読む場所を指定しています。
任天堂の通期決算説明資料、3ページ目にあたります。連結業績の実績を並べる、資料の冒頭にあたるページです。
決算資料でいちばん最初に数字が出てくる場所です。読み手は、まず売上高と利益がいくらだったかを知りたい。グラフで傾向を見るのはその後になります。
求められるのは、数字を正確に、素早く読めることです。
置かれているのは3つだけです。
| 部品 | 中身 |
|---|---|
| ヘッダー | 中央にタイトル、下に画面幅いっぱいの横罫1本 |
| 表 | 3列6行。FY25・FY26・増減 |
| 注記 | 表の下に2行 |
グラフがありません。前期比を示す矢印も、伸び率を強調する図形もありません。数字を並べただけです。
本文領域の下半分は、完全な空白になっています。
掲載している業績ハイライトは20枚あります。数字の見せ方は3通りに分かれました。
| やり方 | 得るもの | 失うもの |
|---|---|---|
| 表だけを置く | 正確な値を素早く読める | 増減の大きさが実感しにくい |
| グラフだけを置く | 傾向や差が形で分かる | 正確な値が読み取りにくい |
| 表とグラフを併置する | 両方に応える | 1つあたりの面積が減り、同じことを2回説明しがち |
任天堂は1つ目です。同じ資料の4ページ目では表と円グラフを併置しているので、ページごとに使い分けていることになります。
連結業績のページは、証券会社が数字をそのまま転記する場所です。読み取りやすさより、値の正確さが優先されます。グラフを描いても、結局は表の数字が使われます。
縦罫を引いていない
3列ありますが、列を分ける縦の線が1本もありません。横罫も、項目の区切りに細い線を引くだけです。
格子で囲うとどうなるでしょうか。
線が12本以上増えて、数字より先に枠が目に入ります。
表の中で目立つべきは数字です。格子が主張すると、読む順序が入れ替わります。
数字が縦に揃っていれば、線がなくても列は分かれて見えます。任天堂は金額を右揃えにして、桁の位置を縦に合わせました。線の代わりに、数字の並びが列を作ります。
当期の列に帯を通す
FY26の列だけに、薄い黄色の帯が縦に通っています。
3列のうちどこを読むかが、罫線ではなく面で指定されます。線で囲むと枠が1つ増えますが、面で塗れば線は増えません。格子を消したのと同じ理屈です。
帯の色も濃くしていません。濃いと数字が読みにくくなるので、文字が読める明るさに留めています。FY26の数字だけを太字にして、面と文字の太さを重ねています。
単位を数字の後ろに小さく置いている
「23,130」の後ろに「億円」が一段小さく添えられています。単位を列見出しにまとめる書き方もありますが、ここでは各行に付けています。
まとめられるのは、表全体で単位が1つのときだけです。
任天堂の表は、売上高が億円、利益率が %、増減が pt. と3種類の単位を持っています。行ごとに単位が違うので、列見出しには書けません。
各行に付ければ、単位の違う行が混ざっても取り違えません。小さく添えることで、数字の桁を読む邪魔にもなりません。
表を置くページでは、まず縦罫を全部消してみてください。金額を右揃えにすれば、多くの場合は線がなくても列が分かれます。横罫も、項目の区切りだけに留めます。全行に引くと、行数のぶんだけ線が増えます。
読ませたい列があるなら、線で囲まずに薄い面を通してください。
色は文字が読める明るさまでに留めて、数字を太字にします。面と太さの2つで指定すれば、濃い色を使わずに済みます。
単位が行ごとに違うなら、各行の数字の後ろに小さく添えてください。列見出しにまとめられるのは、表全体で単位が1つのときだけです。
グラフを足すかどうかは、読み手が何をするかで決めてください。数字を転記する読み手なら表だけで足ります。傾向を知りたい読み手が多いなら、別のページにグラフを分けるほうが、どちらも読みやすくなります。
連結売上高と地域別構成
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# 参考にするスライド 任天堂株式会社「2026年3月期 決算説明資料」4ページ目「連結売上高と地域別構成」 https://slidezukan.com/docs/nintendo-2026q4/#p4 # 分類 資料の種類:決算説明資料 スライドの内容:業績ハイライト 図版の型:円グラフ 配色:カラフル # 読み取った作り - 本文領域を左右で割る:ヘッダーの横罫から下を、左に表と注記、右に円グラフという2列に割っています。罫線で仕切らず、両者の間に広い余白を置くだけで分けています。 - 注記を表の下に逃がす:※1・※2の長い定義文を表の下に小さく置き、表の中には数字だけを残しています。表の行が増えないので、3行の構造が保たれます。 - 強調は下線1か所:為替の影響額だけを本文より大きい文字にし、下線を引いています。色を足さずに、サイズと下線だけで1か所を立てています。 # 資料全体の決まり - 使用する色は6色まで - 章の切れ目に中扉を置く - 表紙の配色は以降へ引き継がない - 表紙の次はその他 # 依頼 上の作りをそのまま使って、次の内容でスライドを1枚作ってください。 内容:(ここに自分が載せたい内容を書く) 変えたいところ:(あれば書く。無ければ「なし」)
表と円グラフを左右に並べたページです。長い注記を表の下へ移して、表の行数を3行に保っています。
任天堂の通期決算説明資料、4ページ目にあたります。連結売上高を、内訳と地域構成の両面から見せるページです。
前の3ページ目で全体の数字を出したあと、売上高だけを取り出して掘り下げる位置にあります。
売上高の話には、性質の違う2つの切り口があります。何を売って稼いだか(事業別)と、どこで売ったか(地域別)です。1枚にまとめるか、2枚に分けるかの判断が要ります。
本文領域が左右に分かれ、それぞれ別の役割を持っています。
| 位置 | 中身 |
|---|---|
| 左上 | 売上高の表(3行)。FY25・FY26・増減 |
| 左中 | ※1と ※2の定義文。小さく5行 |
| 左下 | 為替の影響額を1行。下線つき |
| 右 | 地域別売上高の円グラフと凡例、海外売上高比率 |
左右の間に罫線はありません。余白だけで分かれています。
掲載している業績ハイライト20枚のうち、円グラフを使っているのは少数でした。棒グラフとウォーターフォールが大半です。
構成比の見せ方は3通りに分かれます。
| やり方 | 得るもの | 失うもの |
|---|---|---|
| 円・ドーナツで見せる | 全体に対する割合が一目で分かる | 時系列の変化が見えない |
| 積み上げ棒で見せる | 構成と推移を同時に出せる | 1つの構成比が読みにくい |
| 表で数字を並べる | 正確な値が読める | 割合の大小が実感しにくい |
任天堂は1つ目です。地域別の構成比は、年ごとに大きく変わる数字ではありません。当期の姿さえ分かればよいので、推移を捨てて割合の分かりやすさを取ったと読めます。
アイスタイルは同じ構成比を積み上げ棒で見せていて、5四半期の推移まで同時に出しています。扱う数字が四半期ごとに動くかどうかで、選ぶ型が変わります。
注記の置き場所
※1と ※2の定義文は、合わせて5行あります。「ハードウェア(アクセサリ、amiibo含む)およびソフトウェア(パッケージ併売ダウンロードソフト…)」と、かなりの文字数です。
表の中に入れたらどうなるでしょうか。
行の高さが3倍近くになります。3行の表が6行分の高さを占め、売上高・ゲーム専用機・IP関連収入という3つの構造が、文字の量に埋もれます。
表の下へ移せば、表は3行のまま保たれます。定義を確認したい読み手だけが下を読めばよく、数字を見たい読み手は表だけで済みます。
強調は下線だけ
為替の影響額「+192億円」だけが、本文より大きい文字に下線つきで置かれています。ページの中でほかに強調されているものはありません。
色を足す方法もあります。任天堂はそちらを取らず、サイズと下線だけで立てました。
ページ上で使われている有彩色は、表の数字のオレンジと円グラフの4色だけです。強調色を足すと5色目になります。
サイズと下線なら、色が増えません。
凡例を円の外へ
4つの地域の凡例が、円の右側に縦1列で並んでいます。円の中にはパーセントだけが入っています。
円の中に地域名まで入れる書き方もあります。ただ「米大陸」のように長い名前は円弧の中に収まりません。無理に入れると文字が小さくなるか、引き出し線が要ります。
右に出せば、名前の長さに制約がなくなります。凡例の色見本を小さな四角にして、円のどの部分かを対応させています。
表に長い定義文を添えたいときは、表の外へ出してください。行の中に入れると、表の構造が文字量に埋もれます。出す先は表の下にしてください。定義は数字より後に読むものなので、上に置くと順序が逆になります。
強調は1か所に絞り、まず色以外の手段を試してください。サイズを上げる、下線を引く、太字にする、という3つです。組み合わせれば、色を足さずにたいてい足ります。色は最後の手段にしてください。
構成比を見せるなら、その数字が期ごとに動くかで型を選びます。動かないなら円やドーナツで当期だけを、動くなら積み上げ棒で推移ごと見せるほうが情報量が増えます。円グラフを使うときは、凡例を円の外に出してください。項目名の長さに左右されなくなり、引き出し線も要りません。
本体セルスルーと年間プレイユーザー
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# 参考にするスライド 任天堂株式会社「2026年3月期 決算説明資料」15ページ目「本体セルスルーと年間プレイユーザー」 https://slidezukan.com/docs/nintendo-2026q4/#p15 # 分類 資料の種類:決算説明資料 スライドの内容:業績ハイライト 図版の型:複合グラフ 配色:赤 # 読み取った作り - 見出しの下に結論2行:ヘッダーの横罫の下に、結論を箇条書きで2行置いてからグラフに入っています。グラフを読まなくても、何が起きたかは先に取れます。 - 本文領域を縦線で割る:左右2つのグラフの間に細い縦線を1本引き、別々の話だと示しています。ヘッダーは横罫、本文は縦線と、線の向きで階層を分けています。 - 最新の1本だけ濃く:左は積み上げの上側だけ赤、右は10本のうち最新1本だけ濃い緑にしています。左右どちらも、視線が当期の1本に集まります。 # 資料全体の決まり - 使用する色は6色まで - 章の切れ目に中扉を置く - 表紙の配色は以降へ引き継がない - 表紙の次はその他 # 依頼 上の作りをそのまま使って、次の内容でスライドを1枚作ってください。 内容:(ここに自分が載せたい内容を書く) 変えたいところ:(あれば書く。無ければ「なし」)
性質の違うグラフを2つ並べたページです。ヘッダーは横罫、本文の境目は縦線と、線の向きで階層を分けています。
任天堂の通期決算説明資料、15ページ目にあたります。ハード本体の販売台数と、年間プレイユーザー数を見せるページです。
決算資料の中盤は、財務数値だけでは伝わらない事業の状態を示す場所になります。任天堂の場合、本体が何台売れたかと、実際に遊んでいる人が何人いるかが、売上の裏づけになります。
2つの数字は性質が違います。片方は年ごとに上下する販売台数、もう片方は積み上がっていくユーザー数です。同じ形のグラフでは表せません。
上から順に4つです。
| 部品 | 中身 |
|---|---|
| ヘッダー | 中央にタイトル、下に横罫1本 |
| 結論 | 箇条書きで2行 |
| 左のグラフ | 全世界セルスルー。10年分の積み上げ棒 |
| 右のグラフ | 年間プレイユーザー。10年分の棒 |
左右のグラフの間に、細い縦線が1本引かれています。
左のグラフには凡例(Nintendo Switch / Nintendo Switch 2)がありますが、右にはありません。
掲載している業績ハイライト20枚のうち、1枚に2つのグラフを置いているものが複数ありました。並べ方は2通りに分かれます。
| 並べ方 | 得るもの | 失うもの |
|---|---|---|
| 同じ形のグラフを2つ | 左右を同じ読み方で追える | 扱える数字の性質が限られる |
| 違う形のグラフを2つ | 性質の違う数字を1枚に収められる | 読み方を2回覚えることになる |
任天堂は2つ目です。京セラの6ページ目は左右とも同じウォーターフォールで、要因名まで同じ順に揃えていました。任天堂は積み上げ棒と単色の棒で、形が違います。
形を揃えられないぶん、任天堂は別の手当てをしています。境目に線を引いて、別の話だと先に示すことです。
線の向きを変える
ヘッダーの下には横罫が1本。左右のグラフの間には縦線が1本。同じ細さの線ですが、向きが違います。
向きを揃えたらどうなるでしょうか。
左右の境目にも横罫と同じ太さの線を引くと、ヘッダーの線と本文の線が同じ重さに見えます。どちらが上位の区切りか分からなくなります。
向きが違えば、横は「ここから本文」、縦は「ここで左右が分かれる」と役割が読み分けられます。線を太くしたり色を変えたりせずに、階層が付きます。
結論の位置
ヘッダーの下、グラフより上に、結論が箇条書きで2行あります。「当期のSwitch 2の本体セルスルーは、Switch発売直後の通期実績を上回る水準」「年間プレイユーザーは、前期に続いて1億を超える規模で推移」。
グラフの下に置く作りもあります。図を見せてから解釈を示す順序です。
上に置くと、グラフを読まなくても結論が取れます。決算資料は全ページを精読されるとは限らないので、めくりながら拾い読みする読み手に届きます。
グラフは結論の裏づけに回ります。読み手が自分で発見する余地は減りますが、伝達の確実さは上がります。
強調の規則だけ揃える
左のグラフでは、最新年の棒の下側が濃い赤(Switch 2)になっています。右のグラフでは、10本のうち最新の1本だけが濃い緑です。残りは、左が薄いピンク、右が薄い緑に落とされています。
形の違う2つのグラフですが、「最新の1本だけ濃く」という規則だけが共通しています。
規則を揃えなかったらどうなるか。左で最新を濃くして、右で最大値を濃くすると、読み手は左右で違う基準を探すことになります。グラフの形が違ううえに強調の基準まで違うと、1枚のページに2つの読み方が並びます。
形が揃えられなくても、強調の規則は揃えられます。
性質の違うグラフを1枚に並べるなら、まず境目をはっきりさせてください。左右の間に縦線を1本引くだけで足ります。線の向きは、上位の区切りと変えます。ヘッダーが横罫なら本文の区切りは縦線に。同じ向きで太さを変えるより、向きを変えるほうが混ざりません。
グラフの形が揃えられないときは、強調の規則だけでも揃えてください。「最新の1本を濃く」「比較対象を薄く」といった規則が共通していれば、形が違っても読み方は1つで済みます。結論を先に置くか後に置くかは、読み手の読み方で決めてください。全ページ精読される資料なら後でよく、拾い読みされる資料なら先に置くほうが届きます。
凡例は、必要なグラフにだけ付けてください。任天堂は積み上げのある左にだけ凡例を置き、単色の右には付けていません。全部に付けると、要らない凡例が場所を取ります。
自分で作るなら
30ページを支えているのは、章ごとに密度を変えることと、色を足さずに要素を減らして区切ることの2つです。
順番としては、まず章を3つに分けてください。数字の章、見せたいものの章、巻末の参考資料という分け方は、決算資料ならほとんどの会社に当てはまります。次に章ごとの1ページあたりの情報量を決めます。数字の章は1ページ1つの表、見せたい章は画像と大きな数字1つ、参考資料は詰められるだけ詰める。
章扉は最後でかまいません。本編のヘッダーの罫線を外すだけで作れます。背景を塗る必要はありません。